ピエール=ルイ・マシア 2019年秋冬コレクション展示会インタビュー

_怪我をした事はご自身にとって大きな経験だったのですね。

はい、怪我をして当たり前の生活が送れなくなったときに、改めて自分がどんな人間なのかという、自分自身の内側にあるものを深く掘り下げることができたのです。そのことがあってから私はより自由で、ストレートに自分の本質や表現したいものに辿り着ける様になりました。自分をさらけ出せるようになったことは、自分にとって大きなチャンスであったと感じています。

_コレクションは年々進化していると見受けられますが、いつからウエアの展開をはじめたのですか?

3年前からです。ストール中心であったコレクションをより進化させ、ウエアに展開することになりました。巻物以外だと、かつてクッションなどのホームコレクションも展開していた時期もあります。いずれもカジュアルでコンフォータブルなアイテムから展開を始めました。展開するアイテムが変わったとしても、トレンドは追わず、ブランドとして独自のものを確立していきたいです。

_逆に変わらないところはどんなところでしょうか?

自分の中のクリエーションは四季のように移り変わり、一見それぞれが違うように見えますが、実は円を描くように常に廻っています。それは人生も同じようなものだと思っております。
核として、ファッションにとらわれず何をどう感じて、それを人々とどう分け合っていくかという思いが表現の根底にあり、自由に感じ、それを表現する事こそが私は一番大事だと思っています。

_4年ぶりの来日ですが、以前日本に住んでいたときにはどこに住んでいたのですか??

最初に住んだのは四国です。徳島県に住み、そこで和紙について学んでいました。その後は東京の南青山に住み、イラストやアートディレクターとして仕事をしていました。現在は、フランスのトゥールーズに住んでいます。アトリエもそこにあり、静かで美しく素敵な場所です。

_なぜスカーフというアイテムからブランドが始まったのでしょうか?

私はもともとファッションイラストレーターとして、広告やファッション雑誌のイラストを描いており、当時は紙にイラストを描いていました。生地と紙は似ており、自分の世界観を落とし込みやすく、ファッションアクセサリーとしてスカーフから始まり、自然にイラストレーターからデザイナーとなりました。

_インプットにおいて、意識していることはありますか?

本を読むことは、昔からとても大切にしていることです。本のジャンルは問わず、何でも読みます。今は、テクノロジーの進化でデジタル化が進んでいることもあり、一般的に本を読む人が減ってきておりますが、私はコレクションを創造する中で言葉というものとても大事にしています。本を読むことは、ひとりで「ただそれだけに集中して向き合う」ということに繋がっています。

_今後のブランドの展望は?

わかりません。商業的なファッションマーケティングには興味がないですし、クリエーションとは、人と物とが出会うことで生まれるので、私は素敵なデザインを素材に落とし込み、より素晴らしいコレクションに集中して作るのみです。

今は、次のコレクション(2020年春夏コレクション)について構想しています。コレクションに関しても、日常と引き離して考えるものではなく、日常の延長線上にあるもので、私の生活の一部となっています。

_ PLMのアイテムを人々にどんな風に身に付けて貰いたいと思いますか?

PLMの思考を支持し、ついてきて欲しい訳ではなく、身につけるその人自身を表現してほしいと考えています。自分の中の複数の人間性を解放するイメージで自由なスタイリングをしてほしい。パンツの上にスカートを履いたり、おもいっきり柄をMIXして楽しんで欲しいですし、またシックなジャケットやなどにもあわせるのも素敵です。人は皆誰もアーティストであり、自分の中のアーティスト性を開放し、自由な表現をしてほしいと思います。

ピエール=ルイ・マシア

デザイナー

1968年生まれ。パリの美術学校 l’Ecole des Beaux-Arts(エコール・デ・ボザール)でアートを勉強した後、伝統手工芸の和紙制作を学ぶために日本に渡る。インテリアやインダストリアルデザインなど、独自のアプローチによりアートを表現し、“VOGUE ”“ELLE ”をはじめとする各国のファッション誌でイラストレーターとしても活躍。
2007年より自身のファッションブランド「Pierre-Louis Mascia」をスタート。
詩情をたたえた都会的でタイムレスなデザインによって、ラグジュアリーの新しいカタチを提案し続けている。

Instagram:https://www.instagram.com/pierrelouismascia/