ピエール=ルイ・マシア 2019年秋冬コレクション展示会インタビュー

_2019年秋冬はどのようなコレクションでしょうか?

前提として異文化のパターンのミックスは勿論ですがルールもタブーもない、遊牧民のような自由さを表現したいと思っています。
コレクション制作にあたり、私はまず洋服のデザインを考えると言うよりは、本を書くように、プリントの元になる柄をコラージュしながら思い浮かべ、そこに自分の日々の想いや感情などを足していくようにイメージを広げていきます。
ブランドがスタートしてからずっと一貫して、表現しようとしていることは変わっていません。それを元にシーズンごとコレクションを進化させ、作品そのものが私の表現となっています。

_具体的なキーワードとしてどういったものがありますか?

「優しさ」「人生」「自然」など。包み込まれる優しさというものがキーワードとして挙げられます。
スカーフというアイテムからブランドがスタートしていますが、スカーフは人を優しく包み込み、あなたを守ってくれる優しいアクセサリーのようなものとして捉えています。私は堅苦しい服は好きではないし、トレンドを追いかけたことはなく、コレクションは巻物からウエアまで、常にコンフォータブルであることを心がけています。

_毎シーズンどのくらいの柄を作成するのですか?

毎シーズン、15-20種類のオリジナルプリントを作成しています。色違いは一度も作成しておらず、1柄につき1色の展開です。様々なモチーフやアンティークのパーツを組み合わせ、柄に落とし込んでいます。ブランド創立のパートナー会社であるアキーレ・ピント社の素晴らしい技術によって、自分の思い描くイメージをプリントに再現しています。

_どういった時にインスピレーションが沸きますか?

例えば、訪れたことのない海外の国を頭の中でイメージするように、その国に関する本を読んだり、音楽を聴いたりして自分の中での想像力を広げ、想いを馳せる瞬間の自分の中での心のインスピレーションを大事にしています。イマジネーションのパワーは無限大であると考えています。

_ブランド創立から今年で12年目を迎え、変化してきたことは何かありますか?

今までは、旅や外に出歩くことでインスピレーションの源を求めていましたが、インスピレーションとは、わざわざ外に出て探しに行くものではなく自己の内側にあり、心の中に培ってきたものなんだと気づいたことです。意識しているのはクリエイターとして客観的に物事を見るようにし、トレンドに左右されることなく、自分で感じたことを作品の中に落とし込む事です。
テクノロジーは日々進化し続け、巷に溢れていますが、私はあまりそこに注力していません。それよりも、人間の優しい感情や想いなどが大切だと思っています。

_その変化のきっかけとなったのはどんなことですか?

特に影響があったのは、2年前に怪我をしてしまい、動けなくなってしまったことです。
当時歩けない状態であったが、そこから回復し今は治って歩けるようになっている。その喜びの感情もインスピレーションのひとつになっています。
勿論以前に、旅をしていた時の経験も自分の引き出しの中にストックしており、それをクリエーションとして紡き出していくことも大切にしていますが、怪我をしなかったら感じることのなかった感情や、その経験によって新しく生まれた気持ちなど、怪我をきっかけに自分の中での考え方の変化も大きかったですね。

<後編へ続く>

ピエール=ルイ・マシア

デザイナー

1968年生まれ。パリの美術学校 l’Ecole des Beaux-Arts(エコール・デ・ボザール)でアートを勉強した後、伝統手工芸の和紙制作を学ぶために日本に渡る。インテリアやインダストリアルデザインなど、独自のアプローチによりアートを表現し、“VOGUE ”“ELLE ”をはじめとする各国のファッション誌でイラストレーターとしても活躍。
2007年より自身のファッションブランド「Pierre-Louis Mascia」をスタート。
詩情をたたえた都会的でタイムレスなデザインによって、ラグジュアリーの新しいカタチを提案し続けている。

Instagram:https://www.instagram.com/pierrelouismascia/