_モデルとしてのデビュー以前、アパレルブランドのバイヤーを務めていらっしゃった経歴をお持ちだそうですが、服を選ぶときにどんなことを大事にしていらっしゃいますか?

バイヤー時代はアップカミングデザイナーがもてはやされていた時代だったこともあり、新しくて面白いことをひたすら追求していました。

いまは、身長が私と並ぶほどに子どもが成長したこともあり、お下がりならぬ、お上り服を娘からもらうようになりました。一緒に買い物に行くと「貸してあげるから、ママこれ買ってよ」と巧みにおねだりされることも。

日本でも女性のファッションがエイジレスになってきて、10代から40代50代でも同じものを着られるようになりました。雑誌もそういった打ち出し方をよくしていますよね。

メンズもエイジレス化が進んでるように感じます。最近思うのは、おじいちゃんがすごくおしゃれだということ。若者がおじいちゃんの格好を真似ているみたいに見えますよね。ダブルのスーツに、ダディスニーカーを合わせてみたり。ファッションがよりフレキシブルに楽しまれている時代だなと感じています。

私にとっての最近のホットワードは「子どもと共有できる」ですね。

_今日のコーディネートについて、ポイントなどを教えてください。

このシャツにはきっとフェドラハットが似合うだろうなと思いました。でも、子供のエッセンスが多分に含まれた今の私のファッションスタイルに従って、今日はあえてキャップを選ぶことにしました。

娘たちの世代は自分たちを「ストリート女子」と呼んでいるんですよ。そんな娘からのお上り服を今日は取り入れています。パープルのボーダーシャツはもともと次女のものでキッズサイズなんです。ペイズリーやチェックなど、たくさんのパターンがミックスされているこのシャツに、ボーダーを足してみました。

_中古家具が好きだそうですね。

白夜のある北欧の冬は夜が長く、多くの時間を家の中で過ごさないといけません。そのため家族や友人との団らんを快適に過ごせるよう「ヒュッゲ(hygge)」というマインドコンセプトのもと、シンプルで機能的な家具が求められました。

なかでも50年~70年代に作られた北欧家具は美しく機能的で、なおかつ手作業で作られているため、機械では出せない曲線や温かみがあります。現在では希少な木材で作られた家具も多く、見ただけですぐに分かるマホガニーやウォルナット、オークやローズウッドなどの贅沢な高級木材の美しい木目が魅力的。特にブラジリアンローズウッドが好きで、それだけにフォーカスして家具を探すこともあります。

今一番欲しい家具はバーカート。実家には様々なお酒やグラスを収納したガラス戸の付いたサイドボードがあって、来客がある度にそこから重々しくバカラのグラスやディキャンタが出されていました。

我が家は人の出入りの多い家なので、もっと気軽に慣れた友人が個々にお酒を楽しめるようなバーカートを探しています。私も最近ウィスキーやスコッチをストレートで味わうような、口だけ大人になりましたし。

_古いものの魅力はどこにあるのでしょうか?

家具に限らずファッションなどでも、アーカイブを大切にしているブランドは特に好きです。だから設立の年代なんかも結構気にしてチェックしています。マシアはブランドとしての歴史こそ決して古くはありませんが、いろいろな年代の柄を掘り起こして現代的に上手くまとめているところが魅力です。

_最近気になっていることやはまっていることはありますか?

昨年は旅の連載企画を任されていただいていたので、お仕事で旅をする機会が頻繁にあり、ほとんど毎月何かしら旅に出ていました。旅連載自体は1年で完結したので今年は去年ほどではありませんが、それでも月に一度は仕事とプライベートを織り交ぜてどこかに行くようにしています。

1月は家族旅行でタイのプーケット島、2月はファッションウィークでミラノ、3月は和歌山県の無人島・友ヶ島、4月は京都グラフィーで京都へ。5月は大好きな群馬県の草津温泉へ慰安旅行、6・7月は仕事でロシアのサンクトペテルブルクへ。サッカーワールドカップも観戦し、8月はまた草津温泉へ。9月は仕事でイタリアのヴェローナ、ニューヨーク、そして初めてハワイに行きます。

『Interfm897』の看板朝番組でも金曜日に旅にまつわるコーナーを担当しているので、いつも誰かに何かを伝えられるように、訪れる先々でネタ探し。自分だけの思い出や達成感だけに終始してしまわないよう、色々な人の興味をフィルターにして旅をするよう心がけています。

_短期間のうちに、草津へ2度も行かれていますね。

2ヶ月に1度のペースで草津に行くほど強酸性の温泉、強酸泉にはまっているんです。ピーリング効果があるので、浸かっているだけで擦らずとも古い角質が落ちていくんです。仕事で疲れを感じたら即強酸泉に。癒されるし美容にもいいので、一石二鳥で助かっています。

秋田県の玉川温泉にも行ってみたいです。そこはpH 1.2と日本一の強酸性らしく、強酸泉で有名な草津のお湯が弱く感じられるほどピリピリするそうですよ。

_大学時代、ハマった音楽シーンを追いかけ、ひと思いにニューヨークに住んでしまったそうですが、ひとつのことにハマるととことん突き詰めるタイプなんですね。

基本的には広く浅く興味を持つたちなんですが、稀にピンときたものに対してはグッとのめり込んでしまいますね。例えば、家具にハマると木目にこだわったりと、ニッチになっていくんです。

_音楽にアパレル、東京にニューヨークやロンドンなど、様々な環境と分野に身を置いてきたクリスウェブ佳子さんにとって、どんな時も変わらず大事にしているコアバリューとは何でしょうか?

「なんとかなる」という他力本願ではなく、「なんとかする」と積極的姿勢でいることを意識してきました。そんな無茶ぶりを発揮して、周りを巻き込んでなんとかしてしまう。「できる」と信じていることが大切だと思います。そんな心持ちで仕事にも向き合ってきました。

まだ旅の連載を始める前、1週間パリとモロッコを旅してレポートする企画を、ポンと任されましたが周りは全て外人。でもいつも通り「なんとかする」気持ちで乗り切り、振り返るとそれがすごく自信に繋がったんです。

_初めて会う人ばかりの中で、どのように周りと打ち解けていったのですか?

事前にその人たちのことを徹底的に調べておきます。この業界は自分のことを話すことが好きな人が多いので、調べた内容をインタビューのように相手に聞く。すると、話が弾んで、初めての相手とでもどんどん打ち解けていけるんです。

_バイヤーに限らずPRやマーケティング的立場からもファッションを考えてこられ、現在はモデルとしてファッションに関わり続けていらっしゃいますが、ファッションについてどのように考えていますか?

いまはファッションもどれだけエコで、どれだけサステイナブルであるかが重要な時代です。ファストファッションが台頭し、大量生産・大量破棄が当たり前に行われてきましたが、これからは大きな企業こそがこうした問題に真剣に向き合わないといけなくなっています。

ある時オーガニックコットンに興味を持ったので調べてみると、多くの人が思い描いているであろう「オーガニックコットンは地球環境に優しい」というイメージは、思い込みに過ぎないという事実を知りました。

実は地球環境というより、コットンの生産者の方々に優しかったんです。オーガニックコットンを選ぶことは、農薬による健康被害を受けていた生産者の方々の命を救うことにつながっていたんですね。利益ばかりを追求したものを買うことで誰かが命を失う可能性があるということを、もっと多くの人が意識すべきなのかもしれません。

ファッションはめまぐるしく変わっていくものですし、楽しむものなので、こうした問題意識を声高にしていると面倒な人だと受け取られがちだと思います。ですが、その服がどのようにつくられたかを知ったうえで、ファッションを楽しむ人が増えていくといいなと考えています。

_色々なことを積極的な行動を伴ってご経験されてきたクリスウェブ佳子さんですが、今後挑戦したいことなどがございますか?

夫と話しているのですが、あまり活用されていない東京の屋上を有効活用したいと思っています。ロンドンもニューヨークも、ルーフトップのガーデン化が最近すごく進んでいます。空きスペースを一般に貸し出して、野菜を育て、屋上からテーブルに食材を届ける流れが生まれているんです。

東京でも使われていない空間を農業などに活用できないかと模索中です。近々ニューヨークに行って、BROOKLYN GRANGE ROOFTOP FARMSという団体の活動を視察しに行こうと計画しています。

_ピエール=ルイ・マシアに身を包まれてみて、どんな気持ちでしょうか?

もともとピエール=ルイ・マシアのスカーフを持っていて、旅には必ず持っていきます。これだけ大胆に柄と色が大渋滞していると、やっぱり気持ちがあがりますよね。今日着たシャツも、普段ネイビーやグレー、ブラックしか着ない人がジャケット感覚で羽織るだけで、おしゃれがアップデートできるんじゃないでしょうか。

クリスウェブ佳子

モデル

2011年からVERY専属モデルを務める。
モデル業のほか、ラジオでのトーク、
VERYでの巻頭エッセイを執筆し、書籍化するなどマルチな分野で活躍。
交友関係、行動範囲はグローバル。イギリス人の夫との間に二人の娘を持つ。

Instagram:https://www.instagram.com/tokyodame/?hl=ja

「Pierre-Louis Mascia」のこと。

イラストレーターとして活躍するフランス人デザイナー、ピエール=ルイ・マシア氏による、スカーフを中心としたファッションアクセサリーブランド。
彼の創作のインスピレーションは、1900年代初頭のヨーロッパの文化や、その地域のアーティストから得たもの。詩情をたたえた都会的でタイムレスなデザインによって、ラグジュアリーの新しいカタチを、提案し続けている。

Instagram:https://www.instagram.com/pierrelouismascia/

掲載アイテムはこちら