_naoさんの音楽との出会いは?

母がピアノの先生、父親が文学好きという影響もあって、小さな頃から、音楽と文章は常に身近にあるものでした。当時、私は外でアクティブに遊ぶことも好きだったのですが、家の中では音楽にお話をつけたり遊びながら作曲したりと、自然に作曲をするということが盛り込まれていました。そこが音楽のはじまりだと思います。

_影響を受けた人やものはなんですか?

女性シンガーとして影響を受けたのは、海外アーティストのエリカ・バドゥやビョークなどで、日本人だと、宇多田ヒカルさんや荒井由美さんです。彼女達に共通しているのは、自分が何をやりたいかを知っている、流されないで自分の意思のある人たち。それを突き詰めている人たちが好きですね。ある意味、頑固な人たちだと思います。

また、音楽としていろんなミュージシャンやアーティストの影響はもちろんありますが、それ以外の、身の回りにある自然だったり、人とのつながりが影響していることも多いですね。

_singer を目指したきっかけはなんだったのですか。

大学時代にもっと自分の好きな音楽は何だろう?と探究心を深く掘り下げ、そこで世代を超えたさまざまな音楽を聞くようになりました。その中で、荒井由美さんの音楽に出会いました。彼女は新しいかたちで音楽を提案してくれ、それは芸術的で、今までにないものだったんです。きっかけは、彼女のバックミュージックをしていたティン・パン・アレーから紐付いて、いわゆる”ニューミュージック”と呼ばれた音楽を知り、その素晴らしい音楽に感銘をうけました。彼らは、自分たちの音楽を今までにない形で提示し、受け入れられた。それまでの日本の音楽と日本になかった音楽をぶつけ合わせ、違和感がなく、融合させて、あたらしいものをつくった世代。 まさに”ニューミュージック”なんですよね。そのころの音楽は聞いていて古くならないんですよ。全然。わたしもそういうものを作りたいなと思ったことがきっかけですね。

_その時代と比べて今の音楽業界をどんな風に感じていますか?

実はその世代と、今の世代は似ていると感じているんです。例えばニューミュージックの時代の山下達郎さんも、別のビジネス業界の方が見つけてピックして、生まれた。レコード会社が売れているから、売れる。ではなく、異なるジャンルが合わさることで、新しい動きが発生して生まれたもの。今の時代にも同じ様な流れがあって、時代感や音楽性を掛け合わせることで、より面白いものが生まれると感じています。ずっとそれができたらいいなって思っていたら、だんだんそういう時代になってきたと感じています。今の時代は、その動きを横のつながりで、なんとか作っていけるものだと感じています。

_今までで一番苦労したこと、大変だったこと。

沢山あったと思うんですけと、自分の性格上、すぐに忘れてしまうんです。その時は確かに辛いんですけど。崖っぷちにたつのが好きみたいで(笑)ある意味、いつ命がなくなってもいいくらい。そのくらい好きなものに対して、真剣に向き合っていきているから、そのときは辛かったとしても、結局音楽が楽しいからつづけていられるんです。辛いことがないと、逆につらいですね。光と影のように、光は影がないときれいに見えないように、そういったマインドでいるようにしています。また、最近周りに同世代のアーティストが活躍していることもあり、それも励みになります。

_親交のあるミュージシャンなどは?

人間関係もその時々によって変わります。ずっとその人たちと一緒というのはあまりなく、依存しない関係性が大事だと思っています。同世代の仲間たちとも、会うたびにお互いに成長を感じて、刺激を受け合っていますね。学生時代から音を出していた、Suchmos やWONK、SANABAGUN.のメンバー。そして自分のバックバンドのメンバーなどは特に。個々が確立し、その時を一生懸命生きていたら、いい方向に向かうということを実感しますね。本当に恵まれた今の出会いや環境は、自分自身の力だけではないので、自分のことを過信せずに、周囲の皆に感謝して生きていきたいです。

_naoさんにとっての音楽とは?

ファッションにもいえることですが、内側と外側をつないでくれる、結んでくれる、かけがえのないものであり、目に見えないものからのギフトのようなイメージ。音楽をやっていると、すごいことばかり起きるんです。自分一人の力では動いていないような、外から目に見えないものの力が働いて、呼びかけているように感じるんです。人のために、自分ができることは何だろう。と問いかけた時、自分にとっては、それが音楽だったんです。私がひとりひとりの人に会いに行き、目を見て直接喋ることはできないけれども、そのメッセージが音楽になれば届くかも知れない。言葉にできなかった思いも何か感じてもらえるかもしれない。その可能を信じています。

_自分の音楽で大切にしていることは?

今まで私がやってきた音楽は、気づきの音楽です。聞いている人がはっとするような。曲をきくことで、聞く人自身が自由に、自分を考えるきっかけになるような音楽。表現者という立場で、自分を知る為に、日常で浮かんだことを書きとめ、掘り下げます。一度自分の言葉をすべて吐き出し、一度頭の中を整理することで自分の本質を研ぎ澄ませます。自分を知るということは、ミュージシャンでなくとも大事だと思います。皆だれにでもできることですが、私は人一倍、言葉にするという事に対して、責任を持たないといけないと感じていますね。

(―後編へつづくー)

Nao Kawamura

シンガー

1992年4月11日生まれのシンガー、ソングライター
洗足学園音楽大学 卒業 R&BやPOPS、JAZZをルーツに持ち、表情のあるヴォーカル、ソングライティングで、ジャンルにとらわれない独自の世界観を持つ。澤近立景(Gt)をプロデューサーに迎え、共に活動中。2016年7月にはFUJI ROCK FESTIVAL '16 “ROOKIE A GO-GO”に出演。2017年1月には、初の全国流通 EP”Cue”を発売。7月には、2nd EP"RESCUE"をリリースし、SUMMER SONIC 2017に出演。そして2018年3月14日には、自身初となる1st album “Kvarda”をリリース。コンスタントに作品を作成し、アクティヴに活動している。

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「Pierre-Louis Mascia」のこと。

イラストレーターとして活躍するフランス人デザイナー、ピエール=ルイ・マシア氏による、スカーフを中心としたファッションアクセサリーブランド。
彼の創作のインスピレーションは、1900年代初頭のヨーロッパの文化や、その地域のアーティストから得たもの。詩情をたたえた都会的でタイムレスなデザインによって、ラグジュアリーの新しいカタチを、提案し続けている。

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