_文太さんにとっての個性とは?

今思う自分にとっての個性という考えでは、そんなに人と人って根本は変わらないと思うんです。ほんの少しの違いがひとの個性を形作っているものだと考えています。

_今回、撮影場所に選ばれた「八王子・片倉」という土地は文太さんにとってどんな場所ですか?

八王子・片倉は、12年前に住んでいた場所です。成人式の時に一度訪れる機会があって、その時は、自分の生きてきた半生を振り返りながら、一歩一歩をゆっくりとかみしめて歩きました。「ここが終わりじゃなくて、はじまりなんだ。いままで生きていてよかったな。」と心底感じた瞬間でした。昔は、いろんな大変な状況もあって、20歳まで生きられるとは思っていなかったので。

20歳の誕生日を迎えた瞬間に、「あ、生きてる」と思い、意外と生きられるものだと感じました。もし今、死のうかどうか迷ってる人がいたら、もう少し生きてみたら良いことがあるかもしれないから、もうすこし気楽に生きてみてほしい、と伝えたいです。

_5年後、10年後の自分はどうなっていると思いますか?また、どうなっていたいですか?

わかりません(笑)どうなっていたいとかも特にないのですが、しいて言えば、きちんとご飯を食べて、寝ることができていたい。その中に、自分の好きな事柄が人生のスパイスとしてあればいいなと思っています。

昔は、自分にないものばかりに目を向けていたけれど、友達や仕事、家族など、こんなにも自分が大切にしたいものを持っていたんだ、と気づくことが出来た。5年後、10年後も、そういう気持ちを大事にしていられたらなと思っています。

_以前に児童館で勤務されており、それがこの先のやりたいことにつながるとお伺いしましたが、それは何ですか?

きっかけづくりのコミニュティースペースのようなものを作りたいと思っています。建物を一棟借りて、1Fを洋服屋さん、2Fを将来、音楽やファッション、ダンスなど、好きなことを仕事にしたいけど、やり方がわからない子供たちのためのやりたいことを体験出来るワークショップの場にできたらと思っています。実際今、そういったことを楽しむ場所がどんどん少なくなっているような気がしています。

クリエイティブなことはすべて自分の好きなことをひたすら突き詰める行為だと感じていて、それを仕事にするかどうか、やるかやらないかを決めるのは他人ではなく、自分が社会に出て実際やってみて感じればいいこと。教育の現場でも好きなことに対して、大人が向いている、向いてないとは言わないで欲しいです。

今はSNSなどを活用して発信することで、ある意味、夢は掴みやすくなってはいるけれど、半面、それが飽和状態になってきており、どこに行けばいいかわからなくなっている現状はあると感じています。

更に、今はネットで調べれば何でも答えを探せる時代で、例えば、スタイリストという職業でも大変さが見えてきて、若い人達にとって、やりたい職業ではなくなってきているのは事実です。でも、それってネットだけの情報で、虚像なんです。実際に自分で体験していないのに答えが見えているように感じるけれど、それは実際は見えてはいないと思う。

やってみないとわからないよね。と言う人はあまりいなくて、できない理由づけをするために、答えをすぐに見つけようとするから。答えは自分で見つけないといけないのに。もったいないな、と思って。だったら、俺が作っちゃおう!と思ったんです。

そして、お金がない25歳くらいまでの人に向けてなにか提供出来るものを考えています。例えば、もし服が買えない子がいたら、服のゴミ箱みたいなものを作って、自由にみんなにいらない服を提供してもらいます。週に1度、その服を持っていって良い日を作り、自由に使っていいことにするんです。売ってもいいし、着てもよし、何かをつくるもよし、リメイクしてもいいし。余った服はアーティストなどとコラボして1Fのショップで売ってもいい。今後、クラウドファンディングなどを利用して実現していけたらと考えています。

_それを考えたきっかけはありますか?

僕は色々あった状況の中でも、人との出会いに恵まれていて、今の状況になれて本当によかったなと思っています。実際に、ほとんどの過酷な状況下にいる子どもたちは、皆そんなに恵まれてはいなくて、そのまま生活保護になったり、働けなかったり、鬱になって亡くなったりする子もいるんです。また、虐待で亡くなったり、児童養護施設に入ってもなにもできなかったりする子もいます。

その中で、せめて自分は、きっかけを、“居所”のような場所を作りたいと思ったのがきっかけです。

自分もそうだったんですが、子供たちは、そういった大変な状況の中で、救ってもらえる手段やきっかけがあったとしても、実際それを知らないんです。学校ではそういったことは教えてくれないし、こういう場所があると伝えることがすごく大事なんです。

政府など大きい船が動かないのであれば、小さい船を沢山作るしかないと。一つの活動として、自分がそういう施設を創ったとしたら、東京以外にもどんどんそういった施設ができたら嬉しい。ひとりひとりを助ける行動が大事だと思っています。

今、色々と新しい挑戦を行っていますが、自分がやっていることに対して、自分自身の表現が中途半端にならないように一生懸命やりたい。新しいことをはじめるのには、精神的にも体力的にも大変だけど、やってみないことにはわからないので、自分自身の将来のために頑張りたいと思っています。

_同世代の方々(その他世代も)などに向けて伝えたいこと、メッセージがあればお願いします。

きっかけが見つからないと思っても、意外とあるんです。だから、これいいなと思ったら、とりあえずやってみたらいいと思う。チャンスが巡ってきたら、それに飛び込んでみる。やってみるって大事なことだと思います。

写真:Yoko Kusano

清水 文太

スタイリスト・クリエイター

1997年生まれ。17歳の時短期間でのスタイリストアシスタントを経験。児童館やたい焼き屋・八百屋での勤務もしていた。
19歳にして水曜日のカンパネラのツアー衣装を手がける。
モデルとしてdoublet・DolceandGabbana・Mihara Yasuhiro のショーにも出演。

その活動の他に、装苑・Web magazineでのコラム執筆。自ら買い付けした古着のpopupショップ、渋谷TSUTAYAでのデザインディレクション、ギャラリーでのアート展示なども行う。鈴木えみやスチャダラパーBose・あやまんJAPANファンタジスタさくらだなどのスタイリングも行い、スタイリスト・クリエイター・アーティストとして多岐にわたる活躍を見せている。

Instagram:https://www.instagram.com/bunta.r/?hl=ja

「Pierre-Louis Mascia」のこと。

イラストレーターとして活躍するフランス人デザイナー、ピエール=ルイ・マシア氏による、スカーフを中心としたファッションアクセサリーブランド。
彼の創作のインスピレーションは、1900年代初頭のヨーロッパの文化や、その地域のアーティストから得たもの。詩情をたたえた都会的でタイムレスなデザインによって、ラグジュアリーの新しいカタチを、提案し続けている。

Instagram:https://www.instagram.com/pierrelouismascia/