幼い頃から書が好きで好きで、勉強して、志した書道家になれたと実感できたのが24歳の頃です。27歳の今、書道の暮らしで幸せを感じると同時に、「同じ地球のどこかでは、苦しい思いをしている人たちがいるのかもしれない」という考えが私の創作を悩ますようになりました。

その想いから、微力でも助けになればと支援活動への参加を決意し、アフリカを訪れました。そこでは生きるために食べることがとにかく重要で、食糧を手に入れる努力は必要でも、字をキレイに書くことなんて必要ではありませんでした。私にとって大切だった書道って、「生き抜くためには、なくてもいいものなんだ」と痛感しました。

そのことから、滞在期間中は筆を持つ気分になれませんでした。それでも私が書道を続けているのは、ここに自分自身が存在していることを確かめるためなのかもしれません。脈々と積み上げられてきた過去があって、その先に未来があります。両者の間に位置する現代で、まだ見ぬ世界への扉を、書道という鍵を使って開いていくことに、大きな意味があるはずです。

大好きで憧れている音楽やヒップホップカルチャーも、その気持ちが新しい何かにつながると信じたいから、敬意を示しながらミックスさせてもらってます。

とはいえ、無頓着になんでもかんでも混ぜるだけでは、ごちゃごちゃしたものが出来上がるだけです。削ぎ落とし、核となる精神だけを引っこ抜いてミックスすると、美しいものが表れるのではないでしょうか。

こんなにも色と柄がたくさん盛り込まれているのに、不思議と落ち着いているピエール=ルイ・マシアもミックスの美学だと思っています。柄の大小、集合、余白。それらが融合された中に“間”があり、全体の均整をとっている。だからこそ、絶妙に美しい。この“間”は書道においても重要です。どしんとした核が重なり合って、ぐっと文鎮で押されたような、ブレない美しさを感じます。

万美

書道家

1990年、山口県下関市生まれ。HIP HOPカルチャーのひとつ、グラフィティを書道と同じ視覚的言語芸術と捉えたジャンル、“Calligraf2ity”を見出す。書道教室黒美会主宰。
Calligraphy+Graffiti=Calligraf2ity (かりぐらふぃてぃ)とは――
2には、ひぃふぅみぃよぉ……と数える日本の文化、そして書道 (Calligraphy) とグラフィティ (Graffiti) の"2"つのカルチャーが融合した次(2)世代の伝統とうという意味が込められている。

URL:https://www.66mami66.com/
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